現在、不登校状態のお子さんの中には、このような考えを持っている子も多いではないでしょうか。
「中学・高校には行きたくないけど勉強はしたい」
「大学・専門学校には進学したい」
「将来は家を出て、就職したいと思っている」
このような考えをお持ちの子におすすめなのが高卒認定試験です。
高卒認定試験に合格すると、高校に在籍することなく高校卒業程度の学力があることを証明することが可能です。
本記事では高卒認定試験の概要を解説したうえで、不登校の子におすすめな理由についても詳しく説明していきます。
- 高卒認定試験とは
- 受験のメリット
- 注意すべき点
- 受験資格
- 受験日程・受験科目・難易度
高卒認定試験とは
高卒認定試験とは、文部科学省が実施する試験です。
様々な理由で、高等学校を卒業できない方・できなかった方でも高校卒業程度の学力を証明することが出来る試験です。
高校に所属しなくても、大学・短大・専門学校への進学や就職、資格試験の受験に活用することができます。
平成16年までは大学入学資格検定(大検)という名称で、高校在籍中には受験が認められていませんでしたが、高校在籍中(休学・不登校状態)でも受験が可能になりました。
受験のメリット
高卒認定試験は、進学以外にも様々な場面で活用することができます。
進学
大学・短期大学・専門学校の受験資格が得られます。
就職
「高校卒業」を募集要件とする国の採用試験を受験することができます。
資格取得
「高校卒業」を条件とする国家資格を受験することができます。
以下に、高卒認定試験に合格すると受験が可能な国家資格・採用試験を一覧にしましたので参考にしてみてください。
参考:高等学校卒業程度認定試験の合格を高等学校卒業と同等とみなしている採用試験、国家資格一覧
<受験可能な国家資格の試験一覧>
幼稚園教員資格認定試験 | 1級土木施工管理技術検定試験 |
小学校教員資格認定試験 | 2級土木施工管理技術検定試験 |
建築物環境衛生管理技術者試験 | 1級建設機械施工管理技術検定試験 |
保育士試験 | 2級建設機械施工管理技術検定試験 |
第一種衛生管理者免許試験 | 1級管工事施工管理技術検定試験 |
第二種衛生管理者免許試験 | 2級管工事施工管理技術検定試験 |
第一種作業環境測定士試験 | 1級造園施工管理技術検定試験 |
第二種作業環境測定士試験 | 2級造園施工管理技術検定試験 |
職業訓練指導員試験 | 1級建築施工管理技術検定試験 |
普及指導員資格試験 | 2級建築施工管理技術検定試験 |
林業普及指導員資格試験 | 1級電気工事施工管理技術検定試験 |
水産業普及指導員資格試験 | 2級電気工事施工管理技術検定試験 |
浄化槽設備士試験 | 土地区画整理士技術検定 |
<受験可能な国の採用試験>
国家公務員採用一般職試験(高卒者試験) | 気象大学校学生採用試験 |
皇宮護衛官採用試験
(高卒程度試験、護衛官の区分に限る) |
防衛大学校学生採用試験 |
入国警備官採用試験 (警備官の区分に限る) |
防衛医科大学校医学科学生採用試験 |
税務職員採用試験 | 防衛医科大学校看護学科学生採用試験 |
航空保安大学校学生採用試験 | 航空学生採用試験 |
海上保安大学校学生採用試験 | 衆議院事務局職員採用衛視試験 |
海上保安学校学生採用試験 | 参議院事務局職 |
所属する高校の単位認定
合格科目は高校等へ申請することにより、単位として認定を受けることもできます。
※ただし、認定できるかどうかは学校長の判断によりますので、希望される場合は、受験前に必ず高校等に確認をしてください。
注意すべき点
「高卒認定試験合格」=「高校卒業」ではないことに注意する必要があります。
「高卒認定試験合格」と「高校卒業」で大きく異なる点は学歴です。
高校を卒業すると、卒業した時点で最終学歴が「高卒」となりますが、高卒認定試験を合格しても、最後に所属した学校が中学校ならば、学歴は「中卒」となります。
大学や短大、専門学校の卒業を目指している場合は、この点を特に気にする必要はありませんが、進学せずに一般企業への就職を目指す場合は履歴書の最終学歴が「中卒」となることに注意が必要です。
ただ、文部科学省は高卒認定試験を高校卒業と同等とみなすことを目指しており、企業の採用における応募資格が「高校卒業」である場合、「高卒認定試験合格者を含む」あるいは「高校卒業程度の学力を持つ者」というように記載するよう働きかけています。
受験資格
高卒認定試験は16歳になる年度から受験することが可能です。
10代に限らず、16歳を超えていれば何歳でも受験することができます。
従来の制度とは異なり、高校に在籍中に受験することも出来るので、高校を中退するかどうかまだ迷っている人にもお勧めです。
ただし、高校をすでに卒業しているなど、既に大学入学の資格を持っている場合は受験することができません。
受験日程・受験科目・難易度
高卒認定試験は、例年8月と11月の年2回実施されています。
受験科目は選択によって8~9科目と多いですが、1回に全科目合格する必要はありません。数回に分けて受験し、合格を目指す方がほとんどです。
※令和6年度試験から試験科目が一部変更になっているのでご注意ください。
<受験科目>
【必修科目】
英語、数学、国語、地理、歴史、公共
【選択科目】
- 「科学と人間生活」を選択する場合
:物理基礎、化学基礎、地学基礎、生物基礎のうち1科目選択(合計2科目) - 「科学と人間生活」を選択しない場合
:物理基礎、化学基礎、地学基礎、生物基礎のうち3科目選択(合計3科目)
参考:高等学校卒業程度認定試験 試験科目・合格要件・出題範囲
試験の難易度は高校1年生の基礎的内容が中心で、高校の教科書の内容が理解できれば合格を目指すことができます。
各科目の難易度や勉強方法、対策については別記事にて詳しく解説します。
まとめ
高卒認定試験は、様々な事情で高校に通えない方の将来の選択肢を増やすことができます。
中学で不登校になり高校に進学する勇気がない方や、高校を辞めたいと考えている方は高卒認定試験という選択肢があることを覚えておいてください。
REOでは高卒認定試験について、受験すべきなのか、どのように学習したらよいのかといったご相談も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。